凸凹(でこぼこ)な毎日。

あせくせ働く。

高校教師がもっと「教科を教える」仕事をできるようにするには

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ぼくが在学していた大学は、学校教師になる人数も多くて、知人には高校教師になっている方もいるんですが、話を聞くと教えるだけでも大変なのに。。。と話していたんですね。

最近、モンペだとか何とか校外の対応で大変だとか耳にするし、部活の顧問をしている先生は休みもなくて大変なんじゃないかなと他人事で思ってたんですが、知人の話プラス下のような記事をみると単に大変だ、というだけではいけないんじゃないかなと思って書くことにしました。

「教科を教える」仕事以外の仕事が多くて、教える質が落ちてる?

記事のなかには次のような記述があります。

生徒と関わるのが仕事なのに、生徒と関わる時間減らして労働時間削って、何が「マシな生活」ですか。
本音を言えば、今だって毎回一人一人の小テストにコメント書いて返したいし、一人一人と毎日ちゃんと挨拶して、話しかけてくる生徒全てにきちんと受け答えしたいんですよ。
でも、それをやったら日付変わる前に帰れないし、毎日それを続けていたら死ぬと思ったから、やめたんです。

この話がどれくらい本当なのか。仮に本当だとしても、ひとつの事例で多くの教師の方がそうだ、とは決め付けることはできないと思いながらも、こう思っている方が多いのではないかと勝手に想像して、教師の方には授業や学習指導、それに関わる準備といった「教える」仕事により従事できるようになればいいなと思いました。

しかし、完全に的外れなことも言いたくはないので、もう少し調べてみました。
教師の方がどのような仕事をしているのか、文科省が平成18年に調査を行っています。

このなかに次のような表があります。
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(平成18年度文部科学省委託調査『教員勤務実態調査(高等学校)報告書』p.18)

以上から様々な業務があることがわかります。
ちなみに、教師が週のうちどれくらい授業コマ数(1コマ50分)をもっているかというと、調査によると、11~15コマが30.5%、15~20コマが48.9%で、多くの方が少なくとも10コマ以上は担当していることがわかります。つまり、1日2コマ~4コマ(1日100分~200分)あるということになります。

さらに、調査のなかでは、

  • 「生徒の指導に直接的にかかわる業務」

(朝の業務、授業、学習指導、生活指導(集団)、生活指導(個人)、部活動、生徒会指導、学校行事)

  • 「生徒の指導に間接的にかかわる業務」

(授業準備、成績処理、学年・学級経営)

  • 「学校の運営にかかわる業務およびその他の校務」

(学校経営、会議・打ち合わせ、事務・報告書作成、校内研修、校務としての研修、その他の校務)

  • 「外部対応」

(保護者・PTA対応、地域対応、行政・関係団体対応)
というくくりでまとめられ、下のグラフのような内容になっています。

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(平成18年度文部科学省委託調査『教員勤務実態調査(高等学校)報告書』p.29)

1日当たりの労働時間(残業は含むが持ち帰り*1は含まない)は平均10時間となっていて、当然ではありますが、「生徒に直接かかわる業務」が多くを占めていることがわかります。ですが、約5分の1にあたる2時間を「学校運営にかかわる業務」が占めていることもわかります。一方で、意外に外部対応は少ないですね。

先ほど、1日のコマ数について触れましたが、1日の約半分を占めている「生徒の指導に直接的にかかわる業務」のうち半分が「授業」ということがわかります。

残念ながら細かい業務の時間数についてはわからないので、「とある、真剣に働いていた高校教師の実態」を参考にしてみたいと思います。
そうすると、

教員一人一人に、分掌という担当が割り振られています。例えば教務とか、総務とか、生活指導とか。
私の場合、二学年と教務の担当です。学校行事があればそれに伴う時程の変更や、来年度の年間行事計画の作成、カリキュラムの作成、入試関係の仕事などがわかりやすいでしょうか。
皆さんは意外に思うかも知れませんが、学校要覧だとか、会議記録だとか、学校のサイトだとか、そういう対外的な文章作成も、教員の仕事です。
ちなみに、学校行事一つやるのでも、上に書類を提出して許可を得ないといけません。
大体毎日1~3時間はこれに費やしてますね。

また、

事務仕事以外に、大体毎週会議があります。
分掌での会議、学年での会議、全体での会議と、3回。一回一時間って所ですね。職員会議は2時間超えますが。
でも一日あたりで換算すれば40分程度です。

とあるので、校務分掌と会議でおおよそ3、4時間。「授業」以外の「生徒の指導に直接的にかかわる業務」と「学校の運営にかかわる業務」はこれにあたると考えられます。

最後に「生徒の指導に間接的にかかわる業務」ですが、

8時から、生徒に直接関わる仕事をします。
学級日誌系もそうですが、小テストの採点や、生徒一人一人にコメントをつけたり、回収したノートの確認などです。
(中略)
今では、手を抜きまくって、9時過ぎには学校を出られるようになりました。

とあり、

一回の授業につき、15~20分程度しか準備しません。

と書かれているので、1日2コマ~4コマの授業をしていることを踏まえると「授業準備」は40分~80分。なので「成績処理」と「授業準備」で占められるのではないかと思います。

以上から主な業務について整理すると、次のようになります。

  • 「授業」:2時間~3時間
  • 「校務分掌」:1時間~3時間
  • 「成績処理」:1時間
  • 「授業準備」:1時間
  • 「会議」:1時間

「教科を教える」以外の仕事を占めているのは「校務分掌」と「会議」

これまで「教員勤務実態調査(高等学校)報告書」と「とある、真剣に働いていた高校教師の実態」から、教師の仕事の内容について調べてきました。そこで、本題なのですが「教える」仕事を充実させるためには、どうすればいいのでしょうか。

「授業」は当然減らせませんし、それに関わる「授業準備」も減らせません。「成績処理」も減らせないでしょう。むしろ「授業準備」を増やすことや生徒にコメントをつけることや成績を分析することができる「成績処理」を増やすことは「教える」質を高めるだろうと思います。

そこで「校務分掌」と「会議」について解決すると、スムーズになるのではないかと考えました。
ここまでダラダラと書きましたが、簡単に言ってしまうと、

  • 「校務分掌」と「会議」を減らす

です。

しかし、言っておいてなんですが、なんせニートなので「校務分掌」も「会議」についても減らせるものなのかどうかわかりません。無駄な会議を減らそう!とか書いてあったりしますが、無駄と断言できる立場も経験も知識もないので、減らすことができたらいいんだろうな、くらいです。

なので、減らせないなら教師を増やしてやってもらえばいいんじゃない?と思ったわけです。

「専任」教師をつくってはどうか?

そこで、授業をしない教師、つまり、校務分掌に関わる業務を引き受ける教師をつくります。上記で挙げた表に基づくと、

  • 「生徒の指導に関わる業務」

「朝の業務」
「生活指導」
「学年・学級経営」

  • 「学校の運営にかかわる業務」

「学校経営」
「事務・報告書作成」

  • 「外部対応」

を、主な仕事として担当する教師といった感じになります。
ちなみに、今ある校務分掌は wikipedia で調べると、

  • 総務、庶務
  • 生徒指導
  • 特別活動指導(生徒会、部活動の統括など)
  • 進路指導
  • 保健
  • 図書
  • 人権教育・同和教育
  • 情報システム
  • 事務
  • 研修

があるようです。(校務分掌

このうち、事務は事務職員がいますし、保健や図書についても専門の教師がいます。人権教育・同和教育についても学校によって異なるのではないかと思います。また、特別活動指導は生徒指導との関係が深いので兼ねる場合が多いとあります。

仮に専任教師ができたとしても、すべての「会議」を任せることはできないでしょうから、現在ある「校務分掌」とそれに関わる「会議」を任せることによって、おおよそ3時間が浮きます。この時間を「教科を教える」仕事に従事できるようになります。

近年、修士以上の学位をもった方が高校教師になっていて、これからより専門的な知識をもった教師が増えるのではないかと思います。高校教師の学歴構成は、教員勤務実態調査(高等学校)報告書によれば、平成13年度が10.8%、平成16年度が11.1%、平成19年度が12.3%、平成22年度が14%となっているので、徐々に増えている傾向にあるといえます。

専門的な経験、知識をもった教師がそれを活かせる授業ができたら、単に大学入試だけを目標にするのではない、より学問を生徒へ伝えることができるのではないでしょうか。

*1: 「持ち帰り」はその日の出勤時刻より前の時間帯、および、同退勤時刻より後の時間帯の労働